成長期の子どもはたんぱく質をしっかり食べよう

 この「手ばかり」の考え方をベースに、年代別の摂取量についてみてみよう。

 まずは成長期から。この年代はたんぱく質を材料にホルモンや細胞が活発に活動し、骨や筋肉、臓器が成長するため、必須アミノ酸を含んだたんぱく質を不足なく取りたい。必須アミノ酸以外でも特にアルギニンは成長ホルモンの分泌を高める働きがあるため重要だという。アルギニンは肉や卵、チーズに多く含まれている。

「小さいお子さんは固いものを噛むのが難しいことが多いのですが、よく噛まずに食べると唾液の分泌量が不十分で消化に負担がかかりますし、エネルギーになるまでの時間も長くなります。小さく切るなど、ひと工夫あると食べやすくなると思います。肉や魚が嫌いというお子さんには、唐揚げや洋風の味付けにすることもおすすめです。食物アレルギーがなければ、卵料理もおすすめです。和洋中華とアレンジの幅が広いですし、少量でも栄養価が高いので使いやすいですよ」

 スポーツをする子どもも同じ目安でいいのだろうか。あるいは、筋力や持久力を高めるためには、多めに摂取する必要があるのだろうか。

「たんぱく質ばかりを大量に取ると栄養が偏ったり代謝の際に腎臓に負担をかけたりすることもあるので、『肉だけ』のような食事はおすすめできません。スポーツなど活動量の多いお子さんは必要なエネルギー量全体が大きくなりますから、たんぱく質だけではなくごはんなど炭水化物や野菜類もそれぞれバランスよく増やしてもらいたいです。

 女子は成長のピークである11~14歳頃に生理が始まります。この時期に十分にたんぱく質やビタミン、ミネラルなどを摂取できないと生理周期の乱れや骨密度の低下などさまざまなトラブルになる可能性があるので、特にスポーツをする女子は不足しないように気をつけていただきたいです」

 動物性食品を一切とらない「ヴィーガン」という完全菜食主義が世界的に話題となり、給食に取り入れる小学校も出てきたが、栄養バランスはどうなのだろうか。

「豆類や穀類等から植物性たんぱく質を取ることはできますが、動物性たんぱく質のほうが吸収効率がよいなどメリットもあるので一概に良い悪いとは言えないです。ただ、『体にいいらしいから、何となくやってみよう』と流行に流されることは注意していただきたいですね。菜食について悩むことがあれば、ぜひ管理栄養士に相談してもらいたいと思います」