このように文政権によって迫害を受けてきた尹氏だったが、皮肉にも、今や次期大統領の座に最も近い位置に立っている。もし「尹錫悦大統領」が現実となれば、検察の「刀」は今度は文大統領とその側近に向かうに違いないだろう。

文在寅大統領、「イカゲーム」の心境か

 いまの韓国では大統領選挙を「イカゲーム」に例える自嘲混じりの嘆きがあふれている。二大政党の有力候補本人やその家族らに様々な疑惑が提起されており、大統領選挙で負けた方は刑務所に入れられる可能性がある。その様子がまるで、ゲームに負けると射殺されてしまう「イカゲーム」の登場人物のようだからだ。

 今回に限ったことではない。歴代大統領も、自分陣営の候補が選挙で負ければ、まるでそれが決められたルールであるかのように監獄に入れられる事態が繰り返されている。盧武鉉元大統領のように自ら命を絶つ不幸なケースもあった。

 退任を間近に控えた文在寅大統領も、まさに「イカゲーム」の登場人物のようになりかねない自身の運命を想像し、身震いしているのだろうか。