人気のテスラを押しのけ中国EV市場で首位に立つBYD
結論を言えば、BYDは「賭け」に勝った。周知のように、世界の自動車産業は、脱炭素の波を受けて、いまや一斉にEVに向かいつつある。
トヨタも12月14日、豊田章男社長が、今後4兆円規模の投資を行い、2030年に30車種、計350万台のEVを世界で販売すると発表した。これまでの目標は200万台だったので、EVシフトを鮮明にした格好だ。
だが、EVに関しては、BYDに一日の長がある。昨年の中国国内でのEVの販売台数のベスト3は、BYDが1位で17万9054台、2位は上海通用五菱で16万5609台、3位がテスラで13万5449台だった(中国乗用車連合会発表)。BYDは、世界中で人気を誇るテスラを押しのけて、中国市場でトップに立っている。
特にBYDが有利な点は、もともと電池の会社なので、「EVの心臓部」と言える電池を自社でまかなえることだ。この点は、トヨタが電池メーカーと提携しないとEVが作れないことを考えれば、大きな経費とリスクの回避になる。
実際、BYDは、今年10月31日から11月13日までイギリスのグラスゴーで開かれたCOP26(国連気候変動枠組条約締約国会議)の公用車に採用されるなど、飛躍的に知名度を上げている。その意味では、「満を持して」日本市場に乗り込んで来たのである。
日本車を解体するところから始めたBYDにしてみれば、苦節20年。12月22日は、記念すべき日となったことだろう。