この記事を読んだ時、株式の時価総額で日本最大を誇るトヨタも舐められたものだと思った。だが今年10月には、BYDの時価総額は、トヨタの半分まで来た。この勢いが続けば、2010年に日中のGDPが逆転したように、いずれ逆転する。

携帯電話のバッテリー製造からスタートしたBYDの歴史

 BYDは、漢字で書くと「比亜迪」。「ビーヤーディ」と発音する。「アジアの他社よりも道を開く」という意味に取れ、アジアでナンバー1の自動車メーカーを目指すという気概を感じる社名だ。

 BYDは、1995年に王伝福(おう・でんふく)CEOが、香港に接する広東省深圳で創業した。現在55歳の王伝福CEOは、今年のフォーブス世界長者番付で118位、163億ドル(約1兆8600億円)という途方もない資産を誇る立志伝中の人物だ。

 王CEOは1966年、安徽省の貧農家庭に生まれ、湖南省長沙の中南大学冶金学部を卒業。北京有色金属研究所で修士号を取得し、同研究所で金属を分析する研究者だった。

 この頃、中国で一世を風靡していたのが、米モトローラの携帯電話だった。今後、中国で携帯電話が大量に普及していくと見込んだ当時29歳の王氏は、携帯電話のバッテリー電池を作る会社を創業した。これがBYDである。