人権問題で西側諸国から北京冬季五輪への外交ボイコットを表明され、大揺れの中国が今、スポーツにおいてもうひとつの難題を抱え込んでいる。中国プロサッカー・スーパーリーグの14クラブうち、11クラブで選手に対し最長約8カ月にも及ぶ給与支払いの遅延が発生。スーパーリーグの半数以上のクラブが不動産関連企業を親会社としているのだが、これが中国政府による不動産業への妥協なき規制強化の煽りをモロに受ける形となっている。グラつく屋台骨には修復の見通しすら立たない状況なのだ。
爆買いしてきた外国人選手が次々と「中国籍」に
中国の国内総生産(GDP)の2%に当たる約2兆元もの負債を抱えて破産寸前に陥っている不動産大手・中国恒大を親会社とする広州FC(旧広州恒大)の経営状況は特に深刻だ。
同クラブに所属していたFWリカルド・グラールは母国のブラジルへ帰国し、11月末に同国1部のパルメイラスへ入団。FWアラン、FWエウケソンの2人も12月に同じく広州FCを退団して母国のブラジルへ帰国した。この3選手は2年前の2019年に中国プロリーグで5年間以上を過ごしてきたことで中国への帰化が可能になり、同国の国籍を取得済み。つまり「中国人プレーヤー」である。
3選手は2022年カタールW杯アジア最終予選の中国代表メンバーにも名を連ねている。他に同じくブラジル出身でFWフェルナンジーニョ、さらにイングランド出身で英プレミアリーグ・元エバートンFCのDFティアス・ブラウニング(いずれも広州FC所属)や元アーセナルのMFニコ・イェナリス(北京FC所属)らも中国国籍を2019年に取得し、2年前に帰化メンバーが次々と中国代表入り。背景には“大のサッカー好き”の習近平国家主席が大号令の下、中国国内で推し進める「サッカー強国」への強化プランがある。