日本にはなぜ原音と違ったカタカナ表記が多いのか(写真はカール・マルクスの石像)

 日本でも、米国の左傾化を強く懸念する本がいくつか出ている。

 当然のことながら、米国ではいくつも出版されている。例えば、2021年7月に『アメリカン・マークシズム』(American Marxism)という本が出た。

 著者のマーク・レヴィンは、ラジオ・トークショウ(「マーク・レヴィン・ショウ」)のホスト並びにフォックス・ニュースでも自分の番組(Life, Liberty and Levin)を持っている人である。

 名前から分かるように、ユダヤ系米国人(フィラデルフィア出身)である。

 まだ届いたばかりなので、これから読むところであるが、目次を見る限り、内容はなかなか興味深い。

 ところで、この本のタイトルから、これまで私がずっと感じて来た日本語のある表現に関する違和感について述べてみたい。

 この本の邦題を付けるとすれば、差し詰め『アメリカのマルクス主義』もしくは『アメリカン・マルキシズム』になりそうである。

 しかし、実はマルキシズムと言うのは、日本だけの表現で、ヨーロッパ系の言語で、マルキシズムと発音する例はない。

 英語(Marxism)は「マークシズム」、ドイツ語(Marxismus)は「マルクシスムス」もしくは「マークシスムス」、フランス語(marxisme)は「マルクシスム」である。

 また、イタリア語(marxismo)は「マルクシズモ」、スペイン語(marxismo)は「マルクシスム」である。

 念のために、ロシア語も調べてみたが、「マルクシズム」と言うそうである。