だが、米主流メディアはこぞって、パウル氏の業績を称え、その死を惜しんだ。
ところが、トランプ氏は10月19日、ステートメントを出し、パウエル氏の死を悼む主流メディアをこう批判した。
「イラクが大量破壊兵器を保有しているとして大きな過ちを犯したコリン・パウエル氏の死について美辞麗句を並べ立てて、称えるフェィクニュース・メディアの報道を見るのは何と素晴らしいことか」
「パウエル氏は古典的なRINO(Republican in name only=名前だけの共和党員)だ。これまで多くのミスを犯してきた。それはそれとして安らかに眠り給え」
パウエル氏が2016年に自分を支持せずクリントン氏を支持したことへの腹いせもあるのだろう。米メディアはPCに触れないが、「異教徒よりも異端者」的な穏健派共和党員への嫌悪感や黒人に対する偏見がトランプ氏のステートメントには見え隠れする。
ただ巧妙で政治家的なのは、同氏を称える主流メディア報道を批判することで間接的にパウエル氏を批判している点だ。
確かにパウエル氏の国連でのイラク侵攻の正当化はブッシュ政権の最大の過ちだった。そのお先棒を担いだから、戦後、いくら過ちを認めたとはいえ、パウエル氏の輝かしい足跡には汚点としてついて回る。
米国人の中にはその点を突く者がいても当たり前で、トランプ氏はそれを代弁したのだ。
トランプ氏のパウエル観について、CNNのベテラン記者、ジャック・シェイファー氏はこうコメントしている。