2008年の北京五輪時のメーンスタジアム

国民の半数以上はボイコット賛成だが・・・

 一時はあれほど「北京冬季オリンピック・パラリンピックはボイコットだ」といきがっていた米国の「人権外交」はどうやら空振りに終わりそうな雲行きになってきた。

 春から夏にかけては、米議会の民主・共和党議員も、こと「北京ボイコット」になると意見が完全に一致していた。

 米メディアも保守系を中心に「ボイコットは当然だ」という論調だった。

 理由は、言うまでもない。

 新疆ウイグル地区での中国当局による「ジェノサイド」、香港での人権抑圧、台湾に対する軍事的脅迫行為に抗議するためである。

 メディアが「北京五輪ボイコット」と繰り返せば、世論もオウム返しに「ボイコット」「ボイコット」を口にする。

「北京(北京)!」「ボイコット!」の合言葉は、ちょうど、日本人が「アンポ(安保)!」と叫べば、子供たちまでが「ハンタイ(反対)!」と応(こた)えた「六〇年安保」の歴史の一コマを彷彿させる。

 米一般大衆には人権問題だとか、五輪精神だとかといった高尚(?)な話ではなく、とにかく「中国嫌い」からくる世相になっている。

 その発端は無論、新型コロナウイルスの中国発信源説であり、真相解明に消極的な中国の対応だ。

 さらに習近平国家主席率いる中国共産党・人民解放軍が「中国第一主義」を鼓舞すればするほど、米国の一般大衆の間では反中気運がいやがうえにも高まる。