自民党で単独過半数を確保し笑みを見せる岸田文雄首相(10月31日、写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

選挙直後に「岸田・バイデン会談」

 発足間もない岸田文雄首相の信任が問われた衆院選で、自民党が衆院定数の過半数(233議席)を単独で確保し、連立を組む公明党と合わせ、安定した政権基盤を築けたことにジョー・バイデン米大統領は安堵している。

 反面、バイデン氏と外交防衛ブレーンたちは、岸田政権を取り巻く自民党内の対中国スタンスが決して一筋縄ではいかないことも熟知している。

 岸田氏は、安倍晋三氏から「中継ぎ登板」した菅義偉氏とは異なり、外務、防衛各相経験もあり、自らの対米、対中観があることや菅政権が置かれていた自民党内の状況とは派閥間バランスも微妙に変化しているからだ。

 同政権を支える派閥の元領袖の中には、総選挙中にも日中首脳会談を提案したり、台湾海峡の緊張状況を矮小化する者もいた。

 岸田氏が属する派閥自体、伝統的に官僚出身の親中国派が多い。反米ではないが日米軍事同盟には消極的な「公家集団」だ。

 バイデン政権が岸田政権の対中政策に一抹の不安感を抱くゆえんだ。

 いずれにせよ、米国にとっては同盟国・日本の政権が安定していることが強固な日米関係を維持する上での絶対条件だ。

 特に米中の「新冷戦状態」が続く中で、自民党を主軸とした親米保守勢力が安定した政権の座を守ったことは、バイデン政権にとっては力強い。

 バイデン氏としては、安倍晋三、菅義偉両政権との間で交わした日米同盟関係の「羅針盤」を行使して一層の同盟強化に拍車をかけたいところだ。

 バイデン、岸田両氏は、10月末~11月初旬に英北部グラスゴーで開催される国連気象変動枠組み条約26回締約国会議(COP26)首脳会合にともに出席する。

 その際に初の対面首脳会談を行う。