恋愛の対象も性別にこだわらない

 アトスとの関係を続けながら、トーベは恋に落ちる。相手は市長の娘で、舞台演出家として活躍するヴィヴィカ・パンドラー。同性愛が犯罪だった時代。二人は互いのことをトフスランとビフスランと呼び合って、二人にしかわからない言葉や暗号で愛を伝え合った。ムーミンの物語に登場する、いつでも手をつないで歩く仲良しのトフスランとビフスラン。彼らが自分たちだけの言葉で話すのはここからきている。

© 2020 Helsinki-filmi, all rights reserved

 彼女もまた、結婚しており、トーベに結婚していた方が生きやすいと薦めている。結果的にはヴィヴィカが夫と別れることはなく、二人の恋愛は解消されるが、トーベとヴィヴィカの友情はその後も続いた。アトスと婚約こそしたものの、トーベは独身を貫いた。

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 トーベの生涯のパートナーとなったのが、グラフィックアーティストのトゥーリッキ・ピエティラ。ムーミン谷ではトゥーティッキー(おしゃまさん)に当たる女性。ムーミンが人気者となり、多忙な日々を送ることになったトーベの救いとなった女性である。

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 本作はトーベがムーミンを書き始めた戦時中から始まり、トーベの30代から40代前半を中心に、最後の恋人トゥーリッキとの出会いまでが描かれている。