それでも今回の接触事故が発生してしまったことに、トヨタは大きな衝撃を受けたことだろう。

トヨタ生産システムを活用したeパレットの運航管理システム(e-TAP)の説明資料。トヨタのソフトウエア関連オンライン発表時の資料より(トヨタの許可を得て撮影)
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自動車産業界全体で検証を

 今後、自動運転を日本社会に広めていくため、トヨタのみならず自動車産業界全体として、なぜ今回の接触事故が起こったのかをしっかりと検証することが求められる。

 筆者はこれまで、世界各地で開催された自動運転に関する各種国際会議を定常的に取材してきた。また、日本国内では、国土交通省、経済産業省、産業総合研究所が共同で実施している、福井県永平寺町での自動運転実証実験のサポーターとして行政機関や民間企業との各種協議の場に参加してきた(2018年から「永平寺町エボリューション大使」に就任)。

 そうした中で、自動運転における事故の責任については、国際連合欧州委員会で道路交通法を議論する「道路交通安全国際フォーラム(WP1)」と、自動車技術を議論する「自動車基準調和世界フォーラム(WP29)」における国際的な見解を日本でも採用していると理解している。それによると、自動運転における事故の責任については、画像や走行データ等の収集と分析をもとに慎重な検証を進めるが、走行状況や走行条件の違いから現時点では“最終的にはケースバイケースでの対応となる”としている。事故時の責任の所在をめぐる議論はまだまだ現在進行中といってよい。

 豊田社長は、今後も今回の事故についての情報開示を、トヨタイムズ放送部を通じてタイムリーに行うことを約束した。