米フォードが2022年春の発売を予定しているEVピックアップトラック「F-150ライトニング」(2021年5月19日、写真:ロイター/アフロ)

(桃田 健史:自動車ジャーナリスト)

 米国のジョー・バイデン大統領は2021年8月5日、米国で販売される新車の電動化(EV化およびFCV化)率を2030年までに50%に引き上げる大統領令に署名した。

 これに合わせて、バイデン大統領が報道陣に強調したのは、雇用の維持と中国政府に対する牽制だった。

自動車業界は雇用減少に直面

 電動化率が高まると、自動車業界の雇用はどうなるのか。

 一般的に、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンなどの内燃機関からモーターに切り替わり、エネルギー源がガソリンやディーゼル燃料から大型の蓄電池へと置き換わると、自動車全体を構成する部品点数が半減すると言われている。そうなると、自動車部品メーカーの需要が減少し、また自動車メーカーが電動化技術を共用する動きを強めることで各社の研究開発や実験などの人員も減少すると考えられている。

 さらに、自動車の最終組み立ての現場でも、複数の電動装置を一体化するモジュール化が進むため、作業員の数が減少することは間違いない。