19世紀末にドイツで描かれたアマゾンのアナコンダの絵の一部(山根一眞所蔵画)
(注)ネット上では出所不明、虚偽の疑いがある大蛇写真が拡散しているため、本記事に掲載する写真のうち山根一眞所蔵写真や図については出所を明確にするため「Archives of Kazuma Yamane」のバナーを入れてあります。

(山根 一眞:ノンフィクション作家)

 横浜市で逃げ出したアミメニシキヘビ(学名:Python reticulatus, Schneider,1801)、私が保有する皮標本のオオアナコンダ(学名:Eunectes murinus, Linnaeus,1758)は、成長するとどれほどの「大蛇」になるのだろう(参照:前回「逃走事件のヘビより巨大だった我が家の4メートル『アナコンダ』」https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/65827)。

(注)学名は斜体で表記するルールですが、本記事では表記制約から斜体で表記していません。

『世界動物大図鑑』(総編集・デイヴィッド・バーニー 、日本語版総監修・日高敏隆、2004年、ネコ・パブリッシング刊)はサイズが31.5×27cm、私の蔵書では最も重い3kgもあるすごい本だが(624ページ)、「ボア・ニシキヘビの仲間」25種の解説が詳しい。

『世界動物大図鑑』。17年前の出版だが動物に関心のある人の座右の書としてお勧めだ。アマゾン・ドットコムでは新本が1万1000円で今も販売されている。

 同書によれば、いわゆる「大蛇」は大きくわけると「ボア類」と「ニシキヘビ類」の2類があり、「ボア類」はおもにアメリカ大陸に生息、「ニシキヘビ類」はおもにアフリカ、アジア、豪州に棲息している。

 ちなみに、米、フロリダ州ではペットとして持ち込まれ、飼育者が巨大化して飼育しきれず湿原に放ったアジア産の巨大ニシキヘビが大増殖し在来種を脅かしている(前回の冒頭の写真で紹介)。フロリダ州南部は熱帯気候帯であるため、生息・繁殖に適しているからだ。

 大型のニシキヘビは1回に30~100個の卵を産むが、アミメニシキヘビについて驚くべきレポートがあった。アミメニシキヘビは、雄がいなくても雌だけで繁殖する単為生殖が確認されたと、2014年10月に『ナショナルジオグラフィック』が報告、雌1匹だけでも増えてしまうおそれがあるというのである。

 日本は寒い冬の季節があるため、ニシキヘビが逃走しても大増殖のおそれはないだろうが、温暖化の進展によって想定外のことが起こるかもしれない。横浜市で逃げ出したアニメニシキヘビが発見されないまま、数年後に50~60匹に増えていたかも・・・とは思いたくないが。

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