(篠原 信:農業研究者)

「男性版産休」(改正育児・介護休業法)が衆議院で可決、成立した。施行時期は2022年10月を想定している。これはこれで、大変大きな前進だ。

「過酷な」出産直後の育児、男性によるサポート促す法整備

 子どもが生まれてから8週間以内に計4週分の休みを取れる育休の特例措置。夫のみ利用することができ、2回まで分けて取得できる。

 女性は産後、出産によるダメージから回復もままならないまま、3時間おきの授乳がスタートする。この授乳期は昼も夜もまともに眠ることができず、強烈な睡眠不足でフラフラになる。ワンオペ育児だと、極めて過酷なものとなる。

 男性でも体験を発信する人が増えてきて、ようやく産後の強烈な睡眠不足についても認知度が上がってきたように思う。以下は、私が訴えてきた記事の例だ。

「笑顔で育児ができる社会」にするには何が必要か
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/52688

「産後クライシス」回避のコツは母親の睡眠時間確保
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/61343

授乳不眠に思う、子育て世帯への社会のまなざし
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/61092

男親は知らない、乳児期の子育てはこんなに「過酷」
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/58559

 父親も育児の当事者として、産休を取得することが自然視される空気が醸成され始めたのは、好ましい流れだ。「男性版産休」の法律は、こうした社会の変化を受けたものだろう。