教育に関するパネルディスカッションにパネリストとして参加した時のこと。参加者の方から「教育本は強迫本」というフレーズが出てきて、私も含め3名のパネリストが激しく同意した。
オンラインショッピング大手アマゾンなどで「歳」「決まる」というキーワードで検索すると、たくさんの教育関連本が出てくる。専門家の方たちが書いた本なのだから、おそらく内容はとても参考になるに違いない。書名の決定権は出版社にあり、「手に取ってもらいやすい」という計算もあるのだろう。出版も商売だから、まずは手に取ってもらえそうなタイトルにするのは当然のことだ。
しかし見方を変えると「~歳までに××しないと手遅れになる」といったタイトルは、脅し文句とも言える。親は、子育てで失敗したくない。「~歳までにこう育てないと大変なことになりますよ!」と脅されたら、気になって仕方なくなるだろう。つい、本を手に取ってしまう姿が目に浮かぶ。
成長で階段飛ばしはできない
冒頭のパネルディスカッションでのパネリストの方が、「観察」の重要性を説くとともに、「子どもの成長で階段飛ばしはできない」と述べておられた。まさにその通りだ。
赤ん坊は、2本足で立とうとする衝動があるのか、両脇を手で支えてやると、グイっと立ってしまう。このまま立てるようになるのでは、と思ってしまう。では、ハイハイを飛ばしていきなり立てるようにしてもよいかというと、そうではない。いきなり二足歩行を始めてしまう子は、ハイハイをしていないために腕力がない。転んだ時に頭を支えきれずに強かに顔面を打ち、危険なのだという。「だから、十分な時間をかけてハイハイをした方がいいよ」と、育児支援室のスタッフの方から教えていただいたことがある。