育児の現場は24時間体制、休憩なし。知らぬ間に呼吸が止まりはしないかと不安を抱えながらか弱き命をつなごうと必死になり、その不安から睡眠もろくにとれず、疲労困憊の中で家事もこなさねばならない。検診や予防接種の日程も管理する。上の子がいると赤ちゃん返りも起きたりして、赤ちゃんの世話だけでは済まなくなる。そう、とてつもなく過酷な業務に従事することになる。体力を削られながらマルチタスクをこなす能力を24時間鍛えているのが「産後出向」の実態。
啓発活動で産後クライシスを防げ
産後出向や育児出向を選択する男性には、行政機関による説明会参加を義務づけるのもよいだろう。
自治体や病院が提供するいわゆる「ママパパ教室」は、産後の生活の変化や沐浴の指導、公的機関による支援の説明を行っているが、いまひとつ、産後の授乳期の過酷さが伝わっていない気がする。
そこで「出向」説明会では、パートナーが苦しむことになる、授乳期の極端な睡眠不足を軽減することの重要性や、男性パートナーが女性パートナーと密に連携することによってこの時期を乗り切ることが、その後の夫婦仲を決定的に変えることをデータで示すのもよいだろう。