(篠原 信:農業研究者)
私が塾を主宰していた頃、定期テストのたびに保護者と児童生徒に来てもらい、三者面談をしていた。
回数を重ねるうちに、私はあることに気がついた。ひとり親家庭で、子思いの親をもつ子は、皆よく家の手伝いをし、親を気遣う、よい子だということ。親の苦労をよく知っており、将来は親を楽させたい、と願っている。むしろ両親が揃っている子どもの方が怠惰なことが多かった。
親を支えたい子たち
ひとり親家庭の親御さんは、家事に仕事にと生活のために忙しい。その分、子どもを甘えさせることができず、その分苦労をかけてしまっていると気にしていることが多かった。
私は「家の手伝いをしているのか! えらいなあ、君! これからも手伝ってあげてな。あと、成績を上げたら誰よりも喜んでくれるのが誰か、分かるよな。これまでは勉強の仕方が分からんかっただけやな。大丈夫。やり方はうちで教える。あとはやるだけや!」と言うと、力強く「うん」とうなずいてくれた。