高純度玉鋼をどう精錬するか

 鋭利で丈夫な日本刀を作るには、「玉鋼(たまはがね)」という、特殊な鉄が必要不可欠とされる。この鉄は純度が高く、一般的な製鉄方法では、精錬できないという。

 基礎研究とは、いわばこの玉鋼の作り方の研究と言える。玉鋼を作れないなら、そもそも名刀と呼べる日本刀を作ることはできない。

 原始時代の何の知識もない状態から鉄を作ろうと思ったら、玉鋼を作れるようになるまでに、気の遠くなるほど長い年数の試行錯誤が必要になるだろう。

知を厚くする試行錯誤の蓄積

 そもそも、鉄の原料である鉄鉱石の選び方がわからない。実際には砂鉄を使うそうなのだが、砂鉄をどう集めるのか。磁石を発見するところから始めなければならない。

 基礎研究はこうして、分からないことだらけからスタートする。