一面の瓦礫の中で、女性達が埋もれた家財道具を掘り返していた。

「いったい私達が何をしたっていうの?」「私たちがハマスとは何の関係も無いことぐらい、イスラエルだって知っているのに!」「もう、ハマスもファタファもパレスチナも、うんざりよ!」

 と、アニサさんという女性は怒りと嘆きをぶちまけた。

家を壊され悲嘆にくれるアニサさん(撮影:橋本 昇)
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 町の広場にはテントが張られ、家を失った住民たちが、雨漏りのする暗いテントの中で、気が抜けたように雨の滴を見つめていた。

「俺たちが原理主義者? 違う、奪われた土地を取り返すために戦っているだけだ」

 翌々日、イスラエルからハマス戦闘員たちの遺体が帰され、葬式が行われた。モスクから仲間に担がれて遺体が出てくると、あちこちから激しい銃声音が鳴り響いた。

仲間の遺体を担いで墓地へ向かう(撮影:橋本 昇)
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「アッラ―・アクバル! シオニストに死を。アッラー・アクバル!ユダヤ人はパレスチナから出て行け」

 ダビデの星がデザインされたイスラエル国旗に火が点けられ、旗はメラメラと燃え上がった。