3月24日、サウジアラビアを訪問し、ムハンマド・ビン・サルマン皇太子と会談する中国の王毅外相(提供:Bandar Algaloud/Courtesy of Saudi Royal Court/ロイター/アフロ)

 中国の王毅国務委員兼外相の「気になる中東外交」が止まらない――。

 3月22日、23日と広西チワン族自治区の桂林で、ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相と、事実上の「中ロ準同盟」を宣言。大国ロシアを味方に引きつけたことで、24日から30日まで、サウジアラビア、トルコ、イラン、UAE、バーレーン、オマーンと6カ国を歴訪する「中東外交」を、精力的にこなしている。

 これは明らかに、「アメリカに対抗する旅」である。以下、サウジアラビア、トルコ、イランとの中国外交について見ていきたい。

互いが持つ「国際的非難の的」、擁護し合う中国とサウジ

<サウジアラビア 3月24日~25日>

 サウジアラビアの独裁者、ムハンマド・ビン・サルマン皇太子は、「憎きイランを打倒する」という共通目的のため、米ドナルド・トランプ前大統領と親密な関係を築いてきた。トランプ大統領の最初の訪問先もサウジアラビアで、2017年5月の訪問時に、1100億ドル分の武器売却と2500億ドルに上る投資を決めた。

 ところが、アメリカでジョー・バイデン政権が発足し、両国の蜜月関係がギクシャクし始めている。きっかけとなったのは、バイデン政権が2月26日、かつてイスタンブールのサウジアラビア領事館で起こったジャマル・カショギ記者殺害事件(2018年10月2日)に関して、ムハンマド皇太子の関与を認定し、皇太子の警備隊など76人に制裁を科したことだった。サウジアラビアは、バイデン政権がイラン核合意を復活させるのではという疑心暗鬼にも陥っている中で、「人権外交」という匕首を突きつけられた格好だ。

 そんな折に、王毅外相が訪問したのである。