北朝鮮はステルス機による攻撃に対して最も脆い。写真は空母カールビンソンに着艦したF-35 C(1月28日撮影、太平洋上にて、米海軍のサイトより)

 北朝鮮国内は、三重苦に見舞われ、首都・平壌に在住の外交官でさえも食料品の不足から、生活苦を訴えているという情報がある。

 また、金正恩総書記の非合理な判断により、国内が極めて困難な状況にあるのではないかとの見方も広まっている。

 だが、この非合理と言われている金正恩総書記の判断を、私は北の軍事力整備の推移分析から、軍事戦略に適合した極めて合理的な判断とみている。

 この理由は、金正恩政権が誕生してからの軍備拡充にある。

 金正日総書記時代に南北が戦えば、航空劣勢のため、米韓軍戦闘機や爆撃機にやられ放題で、平壌は廃墟になるほど破壊されるという予想であった。

 しかし、金正恩総書記は、韓国占領のための軍事力の問題点を一つひとつ克服しており、攻勢作戦が可能となってきているのだ。

 そこで、北軍事力の最大の問題点である航空劣勢をどのようにして克服しつつあるのかについて以下の観点から分析・考察する。

①北の軍事戦略を達成するには空の守りが必要

②過去の防空戦闘能力の欠陥

③防空戦闘能力の変化

④北軍作戦戦術への影響

⑤在韓米軍への影響