2021年に入って、多くの専門家が文在寅政権の限界に言及してきた。JBpressでも多くの論考が配信された。しかし、筆者が韓国の友人から聞いたところでは、文在寅大統領は諦めが悪く、最後までもがくタイプらしい。しかも、トランプ大統領からバイデン大統領になって、日米よりも米韓関係が重視されたオバマ政権時代に戻ると思っていたようだ。
文大統領は、韓国政府自身の資金や大企業の資金を投入して、ワシントンのシンクタンクに米韓関係についての研究を促している。典型例は、ボルトン安全保障担当補佐官が職を辞した直後カンフェレンスを韓国からの資金で実施したことである。その後も、日本関係のカンフェレンスが少ない中で、韓国関係のカンフェレンスは中国と同じぐらい多い。
こうした状況下、2月11日、韓国の東亜日報は、韓国が日本の自衛隊による竹島侵攻を想定した防衛計画を作ったことを報じた。翌12日には、岸信夫防衛相が直ちに抗議したが、こんな見え見えの行動に出ざるを得なかった韓国は今、どういう状況になっているのだろうか。
韓国が米国に協力して日本を倒した当事者?
2020年まで遡ってみると、トランプ政権は、在韓米軍に対する韓国の負担金増額を要求していた。ところが、日本がF35を105機購入するなど、同政権の要求に前向きに応えてきた一方、文政権は、イージス艦の建造を含めた武器の国産化も進めており、可能な限り在韓米軍への負担や米国への武器の購入費支払いを減らしたい方針を続けようとしてきた。
一方、トランプ政権や韓国の野党は、北朝鮮との戦闘を前提にした場合、海軍の増強はほどほどでいいとの判断にある。ただ、文在寅政権は海軍増強は米韓同盟のためだと考えており、実際に米軍側の司令官に日本海から南シナ海、南太平洋に抜ける部分を共に守ろうと申し出た。この時は米軍側に一蹴されたが、この一件で米軍も文在寅政権の独りよがりを不安視したという。
文政権は、バイデン政権の誕生で、前政権での話は一度振り出しに戻ったと考えていたらしい。バイデン大統領といえば、副大統領時代に、朴槿恵大統領と密接な関係を築き、安倍首相の靖国参拝を批判したのも彼女の進言があったからだとの見方もあるからだ。
米国、特に西海岸で聞いていると、一部の韓国人は、韓国は第二次世界大戦で日本への後方かく乱行動を行い(彼らは独立のためのゲリラ戦と呼ぶ)、米国に協力して日本をやっつけた当事者だと考えている。彼らは、それが米韓関係の原点だと言う。しかし、いかに韓国寄りの歴史学者であれ、韓国人が、大日本帝国の一部であった朝鮮半島で日本軍に参加して米国や中国と戦ったという事実は動かせない。