2018年1月に都内ホテルで開催された羽生竜王の就位式での記者会見。左は、藤井聡太四段(当時)。羽生はそれから2020年まで、タイトル戦に4回登場したが、いずれも敗退した。通算獲得タイトル100期の大台を目前に、足踏み状態が続いている。 写真提供:田丸 昇
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- 「感想戦」は「時短」に
- 対局者が体調を崩した場合
- 感染症を罹患した場合
- 羽生九段の発熱によって対局が延期に
- 相手の対局者を気遣う豊島、羽生の行動
- コロナの影響は対局場にも
(田丸 昇:棋士)
いまだコロナ感染者ゼロの将棋界
新型コロナウイルスの感染が世界的に蔓延している。日本では確認された感染者数は約40万人で、死者数は6千人を超えている(2021年2月4日時点)。
コロナウイルスの感染は、プロ野球、大相撲、ラグビーなどのスポーツ界、俳優、歌手などの芸能界にも及んでいる。団体で行動する、仕事で声を出す、などの形態が一因として考えられる。
将棋界では、コロナウイルスに感染した棋士は幸いにも今のところいない。勤め人ではないのであまり満員電車に乗らないし、夜の街で遊ぶ棋士はもともと少ない。対面で行う棋士同士の研究会は、パソコンを使ったオンライン形式に変わっている。
「感想戦」は「時短」に
棋士同士が盤を挟んで近い距離で向き合う公式戦の対局は、まさに「密接」の光景である。しかし、対局者、記録係、観戦記者らの関係者は、必ずマスクをつけている。対局の写真撮影は代表者が行い、取材陣を減らして「密集」を避けている。
対局室は広いうえに、換気に留意して「密閉」も避けている。将棋の対局で声を出すことは少ないので、飛沫はあまり飛ばない。対局者が終局後に戦いを振り返る「感想戦」は、時間の制限で「時短」にしている。こうした手立てで、コロナウイルスの感染防止に努めている。
対局者が体調を崩した場合
囲碁団体の日本棋院は1月、囲碁棋士の1人がコロナウイルスに感染したと発表した。その棋士への措置は、日程がすでに決まっていた対局は不戦敗とし、それ以外の対局は延期で調整したという。
日本将棋連盟が定める対局規定には、「対局者の健康状態により対局を行えない場合は、その対局を不戦敗とする」という条文がある。健康管理も勝負のうちというのが原則だ。ただし、「感染症を罹患した場合を除く」という補足事項がある。
つまり、一般的な意味での体調不良は不戦敗となるが、感染症の疑いのある症状は、対局延期が認められる可能性があるのだ。