2019年における中国デジタル経済の規模は約35兆人民元で、GDP比36%と「中国デジタル経済白書」で報告されています。今後デジタル人民元の普及が進んだ場合、各地域のミクロな経済状況の把握や対策に期待ができると中央銀行は見ています。

 ただ、デジタル経済の浸透度は地域によって違いがあります。デジタル人民元によってこのような地域差の解消が進むと考えられます。

GDPに対するデジタル経済の比率は地域によって異なる

一般市民に抽選で200元を配布

 限られた範囲内でのデジタル人民元の導入は、2020年の初頭から始まりました。ハイテク企業の集積地である深圳市、シンガポール政府と共同運営のハイテクパークが位置する蘇州市、西部大開発の重点都市の成都市、首都である北京市近郊に位置し首都機能の一部移転が計画されている雄安地区です。これらは、行政機関の職員に対する手当の支給や、公的機関内での消費などに限定されたものです。

 導入実験が一般市民に拡大されたのが2020年10月です。深圳市の公式ホームページを通じた抽選によって、一般市民5万人に対し、1人あたり200元(約3000円)のデジタル人民元が配布されました。

深圳市で配布されたデジタル人民元(左)と、地元の飲食店やショッピングモールを対象にしたデジタル人民元対応店の一覧(右、https://mp.weixin.qq.com/s/GKH3feEEN0nfIdG6xk0QJQより)