フィリピンのドゥテルテ大統領は12月3日、米ニューヨークで開催された国連の新型コロナウイルス対策を協議する首脳級特別会合で、各国代表に対して「新型コロナウイルスのワクチンは国際社会が平等にそのアクセスを保証されるべきである」と主張して、途上国や貧困国などがそれを理由にワクチンへのアクセスで不利になるようなことがあってはならないと訴えた。
これは欧米各国や中国などが主導し現在急ピッチで進むワクチン開発で日本を含めた先進国が既に製薬会社などと調達で合意して、相当数のワクチン確保に動いている反面、東南アジア各国やアフリカ諸国などでは確保が十分ではないという現状に警鐘を鳴らしたものとして東南アジア諸国連合(ASEAN)などからは歓迎と支持をする声があがっている。
中国、「マスク外交」の次は「ワクチン外交」
東南アジアではフィリピンやインドネシアなどの各国に対して、中国がワクチンの共同開発やワクチンの優先的提供などという「ワクチン外交」を積極的に展開している。
これはかつてコロナが各国に深刻な影響を与えはじめ、医療器具や感染防止用品が不足する中で中国が展開したいわゆる「マスク外交」に次ぐもので、基本的には各国は中国の動きを歓迎している。
インドネシアは自国でのワクチン「メラプティ(紅白=国旗のことを表す)・ワクチン」の開発を進める一方で、中国の製薬会社と提携して共同開発も同時に進めている。
こうした取り組みによって、インドネシア政府は国民に必要とされる数量のワクチン確保に向けて全力を挙げている。
しかし一方で、期待を寄せている中国製ワクチンに関しては、副作用や医療的効果の検証、臨床試験の結果がまだ完全に安全であると保証される段階にないことを理由に、欧米の製薬会社などからのワクチン確保への道も同時に模索しているのが現状だ。