姜氏に対する警戒の声が上がっているのは政界からだけではない。「朝鮮日報」は、東京の消息筋のコメントとして、<「外務省内には『北方領土のロシア領有権を認めた人物にアグレマンを出すのは良くない先例になる』という主張もある」>との談話を紹介している。

 ちなみに、この記事の見出しには、<最近では日本に「毒舌」>の文字が躍っている。

国立墓地から親日派の墓を「移葬」を主張

 長らく東洋の歴史を研究してきた経歴も関係しているのであろう。姜氏は、今年8月に共に民主党の「歴史と正義特別委員会」の委員長に就任した。この当時、韓国政界で注目されていたのが、いわゆる「親日派破墓法」制定を含む国立墓地法改正案だった。

 親日派破墓法とは、国立墓地(顕忠院)に埋葬されている歴代大統領ら功労者の墓を掘り返し、「親日派」の墓を移葬しようという仰天の法律だ。

 この法律に関して、国会で共に民主党の議員らが公聴会を開催した。その席で、同党の「歴史と正義特別委員会」の委員長を務める姜氏は、「国立墓地に仇敵(親日派)がいるため、有功者、愛国烈士たちがあの世に行って落ち着くことができない」、「銅雀墓地(国立ソウル顕忠院)や大田墓地(国立大田顕忠院)にさまよっているのではないか。皆さんが亡くなった後に仇敵が隣で鬼神(幽霊)になって漂っているとすれば、そこにいられるだろうか」と主張し、法案成立を積極的に推進したという。

 先月には雑誌社とのインタビューで日本の菅義偉政権について「安倍の側近たち、特に首相官邸の強硬派を中心に引き続き政権を運営していくだろう」と述べている。

 このように歴史問題や領土問題で、日本へ毒を吐きまくってきた。こうした姿勢、菅政権への見方を持ったままで、姜氏は日本社会、特に政界で受け入れられるのであろうか?

 大使として本国の立場を主張することは大切である。しかし、大使となった後も歴史学者のような主張を繰り返すようならば、日本では反発を受け、溶け込めないであろう。

 大使の発言は、政府の公式見解である。失言は許されない。歴史学者ではないのだとの自覚をお願いしたい。