(北村 淳:軍事社会学者)
日本の主要メディアの報道によると、日本時間の11月12日、菅義偉首相と次期大統領就任が確実となりつつあるバイデン前副大統領が電話で会話を交わした際、バイデン氏は「尖閣諸島は日米安保条約第5条の適用対象である」と明言したとのことである。
またも繰り返されたパターン
国防とりわけ尖閣諸島防衛に関しては、菅首相も歴代政権の悪しき前例から一歩も脱却しようとはしていないようである。
すなわち、アメリカ政府高官たちに「尖閣諸島は日米安全保障条約第5条の適用範囲である」と明言させ、日本の主要メディアに「アメリカの○○○○○は、アメリカによる日本の防衛義務を定めた日米安保条約第5条が、尖閣諸島に適用されることを確認した」といった報道をさせる。それによって、「尖閣諸島において中国が何らかの形で武力を行使した場合には、アメリカ軍が出動して日本を救援してくれる」というイメージを日本国内に流布させる、というパターンを繰り返しているのである。
日本の歴代政権にとっての尖閣諸島防衛戦略は、このようなパターンを繰り返すことだけと言っても過言ではない。