会見なしでメッセージ

 韓国第2の財閥で、それも国内で圧倒的なシェアを握る上場自動車メーカーだ。社会に向かって所信を述べてもいいと思うが、財閥総帥はいつも表に出ない。

 鄭義宣氏は、その代わりグループ内にメッセージを送った。

 その内容は意欲的だった。鄭義宣氏は、「人類」「未来」「分かち合い」をキーワードとして提示した。

「現代自動車グループは安全で自由な移動と安らかな生活という人類の夢を実現し、これを世界中の顧客と分かち合い愛される企業になりたい」

「人類の安全で自由な移動のために世の中で最も革新的で信頼される自由走行技術を開発して顧客に新しい移動経験を提供する」

 現代自動車の歴史をさかのぼると、1967年の創業から30年間は、創業者の鄭周永氏と実弟の鄭世永(チョン・セヨン)氏が率いた。この時期の重要課題は「国産化」だった。

 三菱自動車の協力を得ながら、韓国に自動車産業を作り上げモータリゼーションの時代を切り開く。さらに小型車の輸出にも乗り出す。

 さらに2000年代になってからの20年間は鄭夢九氏が率いて、キーワードは「グローバル化」だった。

 1999年に鄭夢九氏が現代自動車の経営権を事実上握った際、「3年以内に年間生産規模を300万台に引き上げて世界トップ10入りを目指す」と語った。

 その後、猛烈な勢いで海外工場を拡張した。2010年に現代自動車と起亜自動車を合わせて世界販売台数は574万台に達し、世界トップ5に入った。

 2014年には800万台を突破した。すさまじい勢いでの成長だった。