バイデン政権誕生でファーウェイに対する排除政策は緩和される可能性が出てきた

バイデン政権の対中政策の建前と本音

 9月以降、多くの米国の中国問題専門家から、ジョー・バイデン政権が誕生すれば、米国の対中政策はかなり変化するとの見方を耳にするようになった。

 もちろん現時点では激戦州の動向によりドナルド・トランプ大統領が再選される可能性も十分あると見られており、選挙後の情勢は不透明である。

 ただし、選挙が近づくにつれて、バイデン政権における政策運営に関して具体的な問題を対象に検討が進んできていることが影響しているように思われる。

 民主党寄り、あるいは中立の学者・有識者の大半は、トランプ政権の極端な対中強硬姿勢に批判的である。

 彼らは中国の外交や内政を全面的に肯定しているわけではなく、多くの問題点を指摘している。

 しかし、米国政府が実施してきた中国に対する「関与」政策が中国に何も変化をもたらさなかったというトランプ政権の見方に反対する。また、同盟国に一方的に負担を押し付ける「アメリカ・ファースト」の方針にも否定的である。

 しかし、これは筆者と学者・有識者とのオンライン面談の中で語られるだけであり、大統領選挙キャンペーンにおいて、民主党バイデン陣営からそのような対中強硬姿勢の見直しに関する提案は一切語られていない。

 逆に、中国に対して融和的立場と見られているバイデン候補自身が、共和党の対中政策を弱腰だと批判している。

 ただ、これがバイデン候補の本音であると見ている専門家は少ない。

 6月頃に米国の中国問題に詳しい学者・有識者に対して、バイデン候補が大統領選で勝利する場合に、米国の対中政策は変化すると思うかと質問すると、ほとんどは基本的には変化せず、対中強硬姿勢が維持されるとの回答だった。

 しかし、9月に同じ質問をしてみると、その意見は個々の問題によって変化していた。