国有企業比率の低下が大前提
中国では中央・地方政府が恣意的に経済活動をコントロールし、政府の補助金を梃子にして国有企業を拡大・強化し、世界市場を席巻しようとしている。
中国政府は2001年のWTO(世界貿易機関)加盟や2013年の第18期三中全会に際して中国経済の市場経済化、規制緩和による自由競争の促進を目指すと説明してきたが、実際にはほとんど進展が見られていない。
こうした批判を日本、米国、欧州諸国でよく耳にするが、その見方には賛成できない。
もし国有企業が中国経済全体に占める比率が中長期的に拡大し続けるのであれば、中国経済は成長率が低下し、経済が不安定化すると考えられるからである。
国有企業あるいは公営企業という経営体は、日本でも欧米諸国でも経営効率が低い。
それは純粋な営利企業ではないため、公的な目的のために企業経営の効率をある程度低下させても問題ないと考えられているからである。
民間企業のように企業業績と従業員の処遇が連動することは少なく、収益を向上させるインセンティブが乏しい。
中国の国有企業も例外ではない。国有企業の最重要目的は国家あるいは地方政府の政策目標の達成である。
特に売上高・利潤総額両面で国有企業全体の約6割を占める中央政府直属の巨大国有企業は、国家の政策目標を重視する傾向が強く、その点で目覚ましい業績を上げた経営トップは中央政府の大臣や主要省市の書記や首長に抜擢される。
彼らにとっては、企業の利益拡大や自身の収入増加より、政府内部での昇格の方が重要な目標であると考えるのが一般的である。