旅行業界・観光業界にとって「GoToトラベル」に期待したいところだが(写真:森田直樹/アフロ)

(舛添 要一:国際政治学者)

 10月になった。新型コロナウイルスの感染はまだ終息したとは言えない状況である。東京都の感染者数は、9月29日が212人、30日が194人、10月1日が235人、2日が196人と、依然として高水準である。

 しかし、GoToキャンペーンが、拡大される。また、全世界からの外国人の入国受け入れも一部再開される。

 厚労省によると、1月末から9月25日までに仕事を失った人は6万923人にのぼる。ハローワークの調査による数字なので、実際はもっと多いはずだが、製造業1万180人、飲食業9906人、小売業9623人、宿泊業7837人となっている。

 このような状況が今後すぐに改善するとは思えない。10月1日に発表された日銀短観はマイナス27で、前回より7ポイント改善したが、企業の景気判断は依然として厳しい。自動車や電気機械は改善したが、生産用機械は悪化している。世界の感染拡大状況を見ると、まだ明るい先行きが見えないのである。

 そこで、経済のテコ入れをする必要が出てきている。新型コロナ感染者は約8万4000人、死者は約1600人であるが、生活の糧がなくなって命をなくす人も数多くいると思われる。

東京発着を対象にすることで大幅な消費アップ効果

 GoToTravelキャンペーンについては、10月1日から東京発着も対象になったので、早速、この割引を利用する人が出てきている。観光地では、これに大きな期待を寄せている。野村総合研究所は、東京が加わることで、個人消費を7700億円押し上げる効果があるとしている。これはキャンペーン全体の消費アップ効果、4兆3000億円の17.8%に当たる。

 細かい問題点を言えば、料金が高額の高級旅館などのほうが、手頃な料金設定の民宿やビジネスホテルよりも集客に成功していることである。割引額を考えれば、それは当然のことである。

 受け入れ側のホテルなどは、「感染防止策を十分に講じているので、安心して利用してほしい」とアピールしている。感染防止と観光業の再生を同時に実現することが肝要である。