新型コロナによる死者が20万人を超えたアメリカでは、9月22日、首都ワシントンにある芝生が広がる広場で、死者を追悼するために2万本の小さな星条旗を立てるイベントが開かれた(写真:AP/アフロ)

(舛添 要一:国際政治学者)

 メディアの世論調査では、発足した菅義偉内閣の支持率は、ご祝儀相場で高い。直近のNHKの調査(9月21〜22日)によると、支持率は62%、不支持率は13%である。自民党支持率も40.8%と、前回(8月8~10日)より5.3%も上昇している。

 また、菅内閣に期待することでは、「新型コロナウイルスへの対応」が25%、「経済対策」が20%、「社会保障制度の見直し」が17%、「政治不信の解消」が14%、「規制改革」が9%、「外交・安全保障」が7%である。

 やはり国民にとってはコロナ対策が喫緊の課題であるが、世界の感染状況を見ると気にかかる点がある。9月24日現在で、世界の感染者は3177万人、死者は97万人である。アメリカの死者数も20万人を超えた。感染者数で見ると、多い順に、①アメリカ693万人、②インド564万人、③ブラジル459万人、④ロシア111万人、⑤コロンビア78万人である。

島国であることが幸いしている日本

 日本と同じ先進民主主義国のヨーロッパ諸国で、このところ感染が再拡大し、規制の強化が行われようとしている。とくに、スペイン、フランス、イギリスがそうである。先の感染者数ランキングでは、それぞれ、8位(69万人)、11位(48万人)、14位(40万人)である。一日の感染者数では、スペインやフランスは1万人を超える水準であり、イギリスでも5000人規模に達している。

 日本では、9月に入ってから、一日当たり感染者が800人以下という数字が続いているので、それと比較すると、欧州諸国の多さが分かる。24日現在で、感染者8万603人、死者1537人である(クルーズ船を除く)。

 スペインでは、首都マドリードの一部で通勤、通学など不可欠な用事以外の外出が禁止された。

 また、フランスでは、感染が急増しているマルセイユ、ニース、リヨンなどで夜8時から午前6時までのアルコール飲料販売禁止や10人以上の集会の禁止措置が採られている。

 イギリスでは、コロナ感染が急速に再拡大している状況に、ジョンソン首相は、危機感を抱き、パブを夜10時に閉めること、在宅勤務に戻ることなどを求めている。

 ドイツは、西仏英に比べると、感染再拡大のペースは緩やかであるが、感染が再拡大していることは確かであり、特にミュンヘンでは感染者が急増している。そのため、9月24日からから公共の場でのマスク着用が義務化されている。