ウィズ・コロナ時代のリアル・キャンパスの姿

 ではこの(2)の方向性の「新しい形」とはいったいどんな形なのか? さまざまな可能性を夢想してみましょう。

 前回述べたニュータイプの「リモート大学」は、安い学費で高品質なオンライン授業を提供することで、日本の学生たちから「コスパの良さ」を理由に歓迎されるかもしれません。しかし、「ネットによるリモートの世界ではなかなか実現できないもの」、つまるところ「フィジカルな場を通じて学生の自己形成を促すさまざまなもの」(第6回参照)の貴重さに気づき、授業をオンラインで受けるだけの学生生活には飽き足りない学生もまた、一定数は存続するでしょう。

 こうしたニーズを満たすべく、フィジカルなキャンパスを核にした大学を運営する場合、新型コロナの長期化や新たな感染症の発生を視野に入れるのであれば、今のキャンパス施設のままで、というわけにはいかないでしょう。

 講義を行う教室やゼミ室、図書館、PCセンター、体育館といった学生が利用する施設は、「3密」を避けるようなゆったりしたつくりに模様替えする必要があります。アルコール消毒等の感染症対策を徹底するとともに、学内専用の位置情報スマホアプリを使って学生の「動線」が混みあわないようにコントロールすることも考えられます。「密」回避のためには、対面授業にこだわり過ぎず、オンライン向きの授業については一部リモートで実施することも柔軟に検討すべきでしょう。

 こだわるべきなのは、むしろ授業以外の部分だと思います。ウィズ・コロナの環境下では、長時間の電車通学のような「人間の移動」はできるだけ制限すべきです。学生の移動距離を極力短くするための方策のひとつは、学生をリアル・キャンパスに住まわせてしまう、すなわちキャンパス内の「学生寮」に学生を入れることです。

 欧米のドーミトリー(学生寮)では、相部屋が主流なこともあり、コロナ禍で退寮措置をとらざるを得なかったことは私も承知しております。一方、小出先生・成田先生との鼎談からは、欧米では寮生活という学生コミュニティを通じて、同級生や先輩・後輩たちと「豊かな学び」をしていることを、まざまざとうかがい知りました(第7回参照)。