個室を基本に、感染症対策をしっかりとったうえで共同生活を行う「ニュータイプ学生寮」で毎日を過ごすことは、接触メンバーが特定されており、通学電車や盛り場のような不特定多数と接触する機会がないことから、仮に感染者が発生した場合でも、感染経路を特定することで感染の拡大を防ぎやすいのではないでしょうか。

 このような、感染症対策と、学生同士の充実した交流を両立した「ニュータイプ学生寮」での全寮制を前面に押し出すのは、「リモート大学」との違いを鮮明にするためのひとつの戦略として有望だと思います。

 弊衣破帽(へいいはぼう)で高下駄履いて、寮歌を高歌放吟するような「旧制高校の寮文化」とは全く異質の、イマドキの若者による「ネオ寮文化」が花開き、寮を核とした学生コミュニティが形成されれば、学生たちも力強い知性を身につけた骨太な人間として成長することが期待できます。

多様なキャンパス活用法「田園大学構想」の可能性

 さて、夢が広がる「新型リアル・キャンパス大学」ですが、難点はインフラ整備にカネがかかる点です。特に都市部では多額のコストがかかり、学費が高額になることは避けられないでしょう。

 だとすれば「地方」です。新型コロナウイルスは、人間の活動が「密」に展開している都市部の脆弱性を浮き彫りにしました。学生をひきつける強みであったはずの都市部の立地が、新型コロナの感染リスクという点では弱みだということが明らかになった今こそ、大学の地方進出の好機なのかもしれません。新たな「リアル・キャンパス大学」は、比較的土地が安く、「密」を回避したゆとりあるキャンパスをつくることが可能な「地方」に展開するのがひとつの有力な選択肢でしょう。

 もしこの動きを「地方創生」「地域活性化」に結びつけるのであれば、地方展開した大学と地場企業がタイアップすることがマストです。「地方での雇用」がなければ若者は地方に残留せず、地方経済が上昇することはありません。インターンシップ等を通じて在学生に地場企業での経験を積極的に積ませ、卒業生の地場企業就職を進めていく一方で、地場企業から大学に寄付してもらうような「地域エコシステム」を構築できれば、新型リアル・キャンパスのインフラ整備コストの一部を賄うこともできます。コロナ禍で淡路島に本社移転するパソナのような企業の動きも合わせ、地方での新たな産学連携が深まることで、集中から分散へ、密から疎へ、の流れが加速し、東京一極集中の是正につながる可能性もあります。