地方の医師不足解消に貢献

 お2人はなぜ総合診療医になろうと思ったのですか?

桐ヶ谷 ほとんどの医学生は臓器、領域別の専門医に進みます。医局からの勧誘は「内視鏡ができるようになるといい」「心臓カテーテル検査できると生命に関わるからいい」など、患者目線とは離れているのではないかと少し違和感を覚えていました。

 医学生6年生で進路を迷っている時期に、出身の大阪にある下町の診療所で実習する機会がありました。

 在宅医療で患者の健康問題の相談事をしている赤ひげ先生のような先生に出会ったことがきっかけで、総合診療医として働きたいと思うようになりました。

䅏田 自分のなりたい医者のイメージが見つからずモヤモヤしていました。

 宮崎市は人口10万人あたりの医師数が全国平均より多いのですが、他の市町村では全国平均より少なく、医者が偏在化しているのが宮崎県の特徴であり課題だと思っていました。

 宮崎で必要とされる医師像を考えると、専門性を極めるよりは、窓口として働ける医者の方がお役に立てるのではと思いました。

患者さんをみるために、地域をみる

 まちづくりとの関わりは難しいものなのでしょうか?

䅏田 総合診療医に関心ある人、まちづくりの視点を持つ人には変わり者が多いかもしれませんね(笑)

 専門医を目指す人はここを治さなきゃいけないとスペシャリティを極めていきますが、私たちは何かの臓器にすごく尖っているわけではなく、その地域の患者さんを診たいということが一番に来ます。

 患者さんを診るために、そのバックグラウンドである地域をみる必要が出てきます。病気を診て、患者さんを診て、その地域を診る、と考えるのが総合診療医だと思っています。