宮崎大学医学部の桐ヶ谷大淳医師(右)、䅏田一旭医師(左)。撮影:松山歓己

 令和2(2020)年4月から宮崎県都農町に、宮崎大学医学部「地域包括ケア・総合診療医学」の寄付講座が開設されました。

 単独の町村での講座は宮崎大学として初めて、全国でも珍しいケースです。

 都農町が抱える人口減、高齢化、医師不足の問題に、大学と一体になって取り組みを始めています。

 今後、医療を核として保健・介護・福祉、そしてまちづくりが連携した地域包括ケアの仕組みを構築、都農町を拠点として総合診療医の育成を行っていきます。

 具体的には都農町国民健康保険病院(65床)に総合診療科を開設。常勤となった宮崎大学の桐ヶ谷大淳先生、䅏田一旭先生に、現状と今後の展望について話を聞きました。

患者一人をまるごと診る総合診療医

 町民にとって総合診療医がいることのメリットを教えてください。

桐ヶ谷 一言でいうと、あらゆる健康問題に対する相談窓口です。

 例えば胸が痛い場合、まず心臓かなと循環器科に行って心臓じゃない、次に肺の問題かなと思って呼吸器科に行って、さらに整形外科に行って、となると大変ですよね。

 まず最初に総合診療医に相談があれば、できることは自分の病院で対応して、必要があればしかるべき専門医を紹介していきます。

 2つ目の役割はかかりつけ医として継続的に患者を診ることです。

 健康や予防の相談から、状態が悪くなった時の診療や各専門医との連携、介護が必要になったら町役場やケアマネジャーへつなぐ、人生の最終段階での相談に至るまで、一人の患者さんをまるごと、継続的に診ていきます。