ワイナリーツアーで自社農園のブドウを紹介する赤尾工場長(左)

世界のワイン産地とは全く異なる気候風土。しかし、そんな常識を覆して日本有数のワインの産地となった宮崎県都農町。それを可能にしたのが、ブルーカラーしか存在しない企業の「永遠に挑戦し続ける経営」だ。

前回の記事はこちら(https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/61371

 経営者である僕が真っ先に2人に聞きたかったのは、第3セクター方式の株式会社で安定的に黒字化を実現している要因についてです。

 チーフワインメーカーで社長の小畑暁さんと、取締役工場長の赤尾誠二さんに、株式会社都農ワインの競争優位性を3つ教えてください、と尋ねたところ、真っ先に返ってきた答えが「設備の先行投資」でした。

先行投資をする

 南米をはじめ長年、海外でワイン市場を見てきた小畑さんだから分かるグローバル市場でのワインのトレンド。

 1万人の町のワイナリーだから小さくまとまるつもりはない、都農町でワインをつくると決めた時から当時の町長に「世界に通じるワインをつくる」と宣言して始めてから考え方にブレはありません。

 都農ワインの名を知らしめたキャンベル・アーリーのスティルワイン*1。しかし、この製品の伸びにいち早く限界を小畑さんは感じます。

 そして、当時国内に先例の少なかったスパークリングワインの開発を構想しました。

*1=スティルワイン(Still Wine)とは非発泡性ワインのこと。赤、白、ロゼの3種類が有名。キャンベル・アーリーとはブドウとワインの種類。