都農町をふるさと納税で全国2位にした立役者、山本貴士さん(手前は筆者、撮影:松山歓己)

 人口約1万人の宮崎県都農町が、なぜふるさと納税を始め、どのようにして累計280億円以上もの寄付額を集めることができたのか――。

 前回(「1万人の町がふるさと納税で全国2位のヒミツ」https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/61653)、その最前線でチャレンジし続けてきた山本貴士さん(ツノハーツ社長、前都農町財政課対策監)に話を聞きました。

 今回は、山本さんが都農町役場を辞めて一民間人として、新たに起業した経緯と今後の展望を探ります。

やらない理由の説明ではなく実行する

 ふるさと納税が全国2位までいって心境の変化はありましたか?

山本 生産者や事業者の商品が売れなくて困っているなら、実際に商品を見せて、頭を下げなければ売れません。

 できない(やらない)理由を説明するのが普通の人、私たちはとにかく実行して、結果で証明するしかないのです。

 みんな何かしたいんだけど、アクションを起こすきっかけがないだけです。それならば、自分が間に入って寄付したい人を見つけて繋げてみよう。

 これが、みんなでふるさと納税に取り組んできて学べたことです。ほかのことにも生きてきています。

積極的に企業誘致しシフトツノ誕生

 ふるさと納税の業務を平成30(2018)年12月に町役場から民間企業に移管した理由は何ですか?

山本 町長と、より意思決定を早くしていくための話をしていました。役場は人事異動で2年、3年で担当が変わってしまうのでネックになります。

 寄付金額が増えると事務量も比例して増えますので、事務に携わる人を増やす必要があり、最大で16人体制で取り組んでいました。

 また、実務を行う場所も不足して会議室をつぶして凌いでいた状況でした。

 嘱託員や臨時職員のみんなも頑張っているので、民間企業でさらに稼いでもらおう、民間のノウハウに託した方が得策ではないかと考えるようになりました。

 最終的に、行政は集めた寄付金をいかに有効に使うかに注力しようということで、町長が切り離す決断をしました。