「蹴-1GP」の創業メンバーの一人、新名亮さん

高齢者や障がい者も楽しめる「蹴-1GP」

「蹴-1GP」(ケリワン グランプリ)という全国大会を聞いたことがあるでしょうか?

 都農町内では知らない人がいないほど浸透しているサッカーのPK大会です。

 蹴=キック、ボールを蹴る。1=一人ひとりにスポットライトを当てる、ひと蹴り、仲間と一つになる。GP=グランプリ、賞、活躍の場という意味が込められています。

 PKだと女性、子供、高齢者、障がい者と誰でも楽しめますし、まぐれでゴールすることもいっぱい。「誰でも参加できる楽しみ」が「蹴-1GP」のコンセプトです。

 なぜ、都農町で「蹴-1GP」が誕生し、毎年全国大会が開催されるようになったのか、創業メンバーを代表して新名亮さんに話を聞きました。

2010年、口蹄疫からの再起

 2010年4月20日、都農町で口蹄疫という、牛や豚などがかかる伝染病が発生しました。

 その後、宮崎県全土に広がり、経済損失3000億円以上、農の都と書く通り、畜産が主要産業の都農町は経済的にも精神的にも、大きなダメージを受けました。

 新名さんは都農町出身、小学校の頃からサッカーを始め、人との距離感や居心地の良さから地元の都農町で福祉用具のレンタル・販売の仕事をしながら子供たちにサッカーの指導をしています。

 口蹄疫が発生したとき、新名さんは30代半ば。ご両親が畜産工場で働いていたこともあり、よりリアルに影響を受けました。

 畜産農家から牛がいなくなり、外出自粛によって、ただでさえ何もない町に、人と人のつながりまでもがなくなり、新名さん曰く、地獄のような日々がしばらく続きました。