山尾 日本版のマグニツキー法(人権制裁法)を作ることです。世界のどの国であれ、深刻な人権侵害が起きたときは国会主導で調査・公表・制裁・救済をしていくという枠組みですね。これはアメリカではじまって、カナダ、イギリスでも成立しています。オーストラリアやEUでも検討されていますね。アメリカの香港人権法やウイグル人権法も、このマグニツキー法がベースになっているんです。

「吉野家炎上チーム」を受け入れていいのか

──全世界の人権侵害を対象にしたうえで、今回は香港の件について中国に制裁を科す方向ですね。香港やウイグル・チベットあたりの人権問題は、日本ではもともと「反中国」的な文脈や排外主義的な文脈に落とし込まれやすいのですが、それとは別のアプローチでいくわけですか。

山尾 そうです。実は昨年の秋ごろから、香港人権法を作れないかと準備をおこなっていたのですが、普遍的な価値を考えると、「香港人権法」「ウイグル人権法」のように特定の地域や民族をクローズアップするより、あくまでもグローバルな人権法でいったほうがいいと。

 世界のどこで起きている問題であれ、深刻な人権侵害は許さないという日本の姿勢を示せるものにしたほうがいいと考えています。「特定の国家への不当な内政干渉だ」といった主張にどう反論するかが重要なんです。

2019年10月1日、佐敦付近でデモ隊により破壊された「親中派」商店。昨年9~11月ごろは、デモ隊の一部による都市破壊行為もかなり広範におこなわれていた

──ライフボートの問題も聞かせてください。今回の国安法は明らかな悪法で、香港を逃れたい人を受け入れる態勢づくりが必要です。ただ、デモの過程では、公共機関や吉野家など「親中国的」とされた日系企業(フランチャイズですが)の店舗を意図的に破壊して回る集団もいました。こうした人たちほど摘発リスクは高いはずですが、いっぽうで彼らの多くは、おそらく平均的な在日香港人の留学生や社会人よりも学歴やスキルが低い若者たちです。日本は彼らの亡命を引き受けるべきだと考えますか?

山尾 そこは判断が難しいですよね。ただ、あの運動の最前線にいる人たちは、運動を離れた場においても、一市民として暴力的な性質を持つ人たちなのかという話です。また、大部分のデモ参加者はそもそも、そういう活動はおこなっていないですよね。

──そうですね。また、香港の非常にドメスティックな層は国外に出ないですし、あえて出たとしても言葉の壁がより低い台湾あたりを選びそうな気はします。