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(作家・ジャーナリスト:青沼 陽一郎)

 検察官の定年を引きあげる検察庁法改正案は、今国会での成立が見送られた。

 審議入りしたものの、SNSで芸能人までが反対を表明し、拡散していた。

 挙げ句に、法案は黒川弘務東京高検検事長の検事総長就任に道を開くものと見られていたが、その当人がステイホーム期間中に新聞記者と賭けマージャンをしていたことが発覚。辞任に追い込まれているのだから、目も当てられない。

 これと同じように、女優の柴咲コウがSNSに投稿したことがきっかけになったのか、今国会での成立を目指しながら審議入りすら見送られた法案がある。「種苗法」の改正案だ。

種苗法が改正されても大半の作物は自家増殖が可能

 日本の農産物の品種は、一般品種と登録品種の2つに分類される。このうち登録品種とは、品種改良などで新たに開発され、登録された品種で、これ以外の在来種や登録されていないもの、あるいは登録期間が切れたものが、一般品種とされる。改正案は、登録品種に開発者の「育成者権」、いわば著作権に基づき、栽培には許諾を必要とするものだ。

 農業生産者は、収穫した作物から次に撒く種をとっておく。これを自家増殖という。登録品種の許諾が必要なら、これができなくなる。あるいは、それに見合ったロイヤリティー(許諾料)が発生する。いままでは、それがなかった。

 ただし、在来種をはじめとする一般品種は、この限りでない。自家増殖もこれまで通り自由だ。