筆者は4月30日、本誌に「コロナで困窮する大学生、国は救済してくれないのか」という文章を書いた。
新型コロナウイルスの影響で大学生ができるアルバイトが非常になくなっており、しかも国が大学生を積極的に救済しようという姿勢を示していないことを批判した。
(参考記事)コロナで困窮する大学生、国は救済してくれないのか
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/60349
幸いなことに、その後事態は好転し、5月14日、政府は、アルバイトの収入が減少するなどした学生に10万円を、住民税非課税世帯の学生には20万円を給付する案を与野党に示した。この給付金は、それぞれの学校が学生らの状況などを確認したうえで、日本学生支援機構を通じて渡されるという予定である。
しかし、果たしてそれで経済的に窮した学生に一日も早く給付金が支給できるかどうか、筆者にはまだ不明である。
学生支援法案の中身
これに先立って、5月11日、日本共産党、立憲民主党、国民民主党などの共同会派が、「学生支援法案」、正確には、「新型コロナウイルス感染拡大の影響で経済的に困窮する学生の支援法案」を衆議院に提出した。
この法案の骨子は、(1)「全学生の授業料一律半額免除」、(2)「減収学生等への一時金最大20万円の支給」、(3)「奨学金の返済免除」の三つからなる。
(1)は、2020年度に授業料の軽減を行う大学等に通う全学生を対象とし、授業料(111万円が上限)の半額を免除するというものである(予算:約1兆964億円)。
(2)は、アルバイトなどが減り、減収した学生らへの一時金を最大20万円の支給とするものである(予算:約2160億円)。
(3)は、2020年度に返還期日が到来する奨学金の返還免除(予算:約7155億円)というものである。
この三つを合計すると、予算総額は約2兆279億円となる。いずれも学生の救済策として不可欠な対応だ。(2)については、冒頭で紹介した「減収学生に10万円、住民税非課税世帯の学生には20万円」という線で落ち着くかも知れない。そこでまずは(1)について話を限定したい。