新型コロナウイルスの影響で、企業や家庭が寄付した食品を生活困窮者に配るフードバンクの役割が高まっている。職を失った生活困窮者にとっても食は命の綱。生活に困窮世帯の児童が休校に伴い、学校給食の代わりにフードバンクに頼る例も出ている。
一方でイベントや学校給食の休止で食材が余った業者が、食品ロスを避けるための寄付するケースも増えている。緊急事態宣言に伴い、ボランティアもなかなか活動できないなか、従来の5倍も支援要請を受けるフードバンクも出ているという。
食品は集まるがマンパワーが足りない
「食料を支援してほしいとの要請が増え、とにかく大変だと実感している」
こう話すのはフードバンクいたばし(東京都板橋区)の藤村行一代表だ。
寄付された食料を福祉施設などに配っており、先行きが不安なためか「目いっぱいほしいと言われる」。緊急事態宣言で外出が自粛されているため、ボランティアに配送を任せるわけもいかない。4月には乾パンが1トン寄付され、藤村代表が住職を務める寺の本堂に置き、配送も自ら行った。
板橋区では4月から各地域センターで、一般家庭から食料や飲料を集め、地域の福祉団体や施設に提供する「フードドライブ」を開始した。缶詰やインスタント・レトルト食品、調味料や菓子、米などが対象で、冷凍食品や生鮮食料品は対象外。こうした家庭からの寄付のほか、フードバンクの活動に協力した企業から寄付が寄せられる。