NATO拡大とロシア影響圏拡大の衝突

 このような動きの背景には、NATO(北大西洋条約機構)・EUの東方拡大とロシアの影響圏拡大の衝突という、大きな地政学的対立がある。

 下記図の通り、東西冷戦終結後、ソ連(ロシア)の拘束から逃れ、自由民主主義を共有したい旧ソ連邦の一員であった東欧圏諸国が雪崩を打ったようにNATO・EUへの加盟を目指した。

 すでに、バルト3国、ポーランド、チェコ、スロバキア、ハンガリー、ルーマニア、ブルガリアなどがNATO・EUへの加盟を果たし、ウクライナも加盟方針を表明している。


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 これに対して、プーチン大統領は、再び「強いロシア」の復活を謳い、ロシアにとっては緩衝地帯の確保、あるいは勢力圏の維持を目的に、また、旧ソ連邦加盟国の取り込みを進めるNATO ・ EUの東方拡大に対して、それを牽制・阻止しようとして地政学的動きを強めてきた。

 その一端が、チェチェン紛争(第1次1994~96年、第2次1999~2009年)や南オアチア紛争(2008年)である。

 その後、2014年の黒海艦隊の母港(セベストポリ)を擁する戦略的要衝としてのクリミア半島の併合、そして欧米の影響を食い止める重要な緩衝地帯そして最後の砦である東部ウクライナへの軍事介入となった。