「中国ウイルス」に激怒する米国
訴訟も辞さず
米国は、中国・武漢発の新型コロナウイルスによる肺炎に対し本気で怒っている。
ドナルド・トランプ大統領は、新型コロナウイルスをあえて「中国ウイルス」、マイク・ポンペオ国務長官は「武漢ウイルス」と呼んでいる。発生源と責任を明確にするためだ。
なぜなら、中国外務省の趙立堅報道官が、あきれたことに「この感染症はアメリカ軍が武漢に持ち込んだものかもしれない」とツイートし、意図的に自国の責任を回避して米国に濡れ衣を着せようとしているからである。
そのうえ、いち早く新型コロナウイルスを克服した模範国であるとして全体主義の体制優位を吹聴するとともに、欧州で最も感染者、死亡者の多いイタリアやイランに医療支援チームを派遣するなど、中国は救世主の立場を演じる外交攻勢に出ている。
また、中国の官製メディアは、「中国は(世界の)感染の抑止に貢献した。中国に感謝せよ」(括弧は筆者)などと主張して、政治宣伝(プロパガンダ)に余念がない。
本稿を書いている4月17日夕現在の世界の感染者数は約215.9万人、死亡者数は約14.6万人で間もなく15万人を超えよう。
そのうち米国の感染者数は約67.7万人(約31%)、死亡者数約3.5万人(約24%)で、世界で最大の被害者を出している。
新型コロナウイルスは、経済にも甚大な打撃と損失を与えている。
国際通貨基金(IMF)は、4月14日に公表した世界経済見通しで、今年の世界全体の実質経済成長率をマイナス3.0%(リーマンショック後の2009年はマイナス0.1%)と予測した。
日本がマイナス5.2%、米国がマイナス5.9%となるなど、主要先進国が軒並みマイナス成長に転じる見通しで、世界経済は、1930年代の世界恐慌以来、最大の景気後退になると指摘している。
あえて言えば、中国は「第2次世界大戦以来の最大の災難」の発生源となったのである。