米国は世界規模で軍事再編
態勢見直しに着手した狙いは?
米紙ニューヨーク・タイムズは2019年12月24日、米国防省が西アフリカに駐留する米軍の大幅な削減・撤退を検討していると報じた。
この記事は、ヘレン・クーパー、トーマス・ギボンズ=ネフ、チャーリー・サベージ、エリック・シュミットの4記者による精力的な取材をもとに書かれたものだ。
それによると、米軍は、アフリカでの駐留見直しに続き、中南米、その後、中東のイラクやアフガニスタンでの駐留軍の削減が進むとの見通しを伝えた。
その狙いは、トランプ政権が大国間競争の相手と位置付ける中国とロシアに対抗するための措置で、世界規模での米軍再編・態勢見直しの第1段階となる可能性があるとしている。
ドナルド・トランプ大統領は、2016年の選挙公約で、(何年も前になされた間違った判断から戦ってきた)米国の「終わりなき戦争」(Endless Wars)を終わらせると約束している。
これは、「対テロ戦」を指していると見られ、再選がかかる2020年11月の大統領選挙に向け海外駐留米軍の縮小を進めたい考えで、大規模再編と同時並行で進める可能性がある。
そして、米軍の大規模再編・態勢見直しは、駐留経費の負担増と同盟国への国防(防衛)費増額の要求を伴って行われることになりそうだ。
4年ごとの国防計画見直しに反映
2017年1月に発足したトランプ政権は、同年12月に「国家安全保障戦略」(NSS2017)を策定し公表した。
NSS2017は、中国とロシアを力による「現状変更勢力」、すなわち「米国の価値や利益とは正反対の世界への転換を図る勢力」として名指しで非難し、米国に挑戦し、安全や繁栄を脅かそうとしている「ライバル強国」であると定義した。
中国は、インド太平洋地域で米国に取って代わり、国家主導の経済モデルの範囲を拡大し、地域の秩序を好きなように再編成しようとしていると警戒感を露わにした。
また、ロシアは強力な力を再び蓄積し、周辺に勢力圏を築こうとしていると述べるとともに、サイバー攻撃などの情報活動で世界のさまざまな国で内政に干渉していると指摘した。