ロシアへの過度依存回避

 ベラルーシは、従来から輸入してきたロシア産の原油などの価格をめぐって疑念や不満を抱いていた。

 そのため、ベラルーシのアレクサンドル・ルカシェンコ大統領は、2020年2月にロシアのウラジーミル・プーチン大統領とロシア南部ソチで会談した。

 しかし、プーチン大統領がロシア産原油のベラルーシへの供給価格を引き上げるなどの厳しい方針を示したため、価格面で溝が埋まらず、合意に至らなかった。

 また、ベラルーシは、前述の通り、「ベラルーシ・ロシア連合国家創設条約」に基づき、ロシアが政治、経済、軍事などの国家統合を深めようとする動きに対し、主権と独立の維持について懸念していた。

 ベラルーシでは、プーチン大統領が、憲法を改正して2024年の任期満了後も権力を維持し、両国を連合国化してトップに就くとの観測があり、反対デモが起きて警戒感を強めている。

 このような両国関係を背景に、ベラルーシの国営石油化学会社は、ベラルーシ向けの8万トンの原油を積んだタンカーが、米国南部を今年5月17日に出港すると発表し、米国から原油の輸入を始めると明らかにした。

 今年4月のサウジアラビア産石油の輸入に続き、隣国ロシアに依存する資源調達の多角化を進める構えを明確に打ち出したのである。

 これに先立ち、米国のマイク・ポンペオ国務長官は今年2月、ベラルーシを訪れ、ルカシェンコ大統領との会談で原油の輸出入について合意し、「米国はベラルーシの主権と独立を守るため協力する」と述べた。

 ロシア(他国)へ過度に依存すれば、その支配を受け、主権を喪失しかねないとのベラルーシの恐れと、ロシアによるベラルーシ支配にくさびを打ち込みたい米国の思惑が一致した結果であった。