津波の被害をいかに低減するかは日本の安全保障上の大きなテーマである

 令和の御代になって大型台風15号、19号が関東地区を連続して襲い、甚大な被害を受けた。

 また、令和2年早々から中国の武漢市に始まった新型コロナウイルス感染症が世界をパンデミックに引きずり込み、人類史上でも希に見る地球規模の人的・経済的な大災害が猛威を振っている。

 多くの識者がこの新型コロナウイルスについて論じているが現時点で何時収束するかの定見は見られない。

 これまでの自然災害とはかなり様相が違って、人や物に対する物理的な破壊ではなく、各個人の健康や生存が何時脅かされるか全く不明のステルス型ウイルスが今回の敵である。

 現時点で明確な対処方法が見つかっていないため非常に厄介であり、現在日本国民はその対策に必死の状況である。

 このような時期、我が国に巨大な自然災害が重なると「泣き面に蜂」の悲惨な事態が想定されることからそれを軽減する対策も考えておく必要があろう。(内閣府が4月21日に東部日本での巨大地震を想定)

図1 想定される巨大地震(産経新聞2019.3.5)

 我が国は自然災害大国と言われ、毎年のように台風や雪害などに見舞われる。

 また、多くの火山帯に乗っかる列島国であるため巨大な地震災害・津波にも苛まされてきた。

 9年前の東日本大震災ではいまだに2万人近い死者・行方不明者を数えている。

 さらに、専門家の間でも遠州灘から紀伊半島にかけて南海トラフの東側で発生すると予想される巨大地震の注意が喚起されており、これに対する十分な備えは非常に困難であろう。

 とりわけ日本は長大な海岸線で囲まれており、地震発生直後に生起する巨大津波には古来甚大な被害を受けて来たため、その襲来情報が発令された時には、可能な限り高台に逃避するのが最優先事項であることは今後も変わらないであろう。

 しかし、大災害の記憶が薄れるとともに便利な生活を優先する低地への住宅地の広がりと高齢化して自力で逃避できない人が増加している。

 この現状への変化を踏まえ、過去の対策に加え今日の進歩した技術を活用して、より効果的な何らかの手立てを講じ、津波による激甚災害を少しでも緩和出来ないか考えてみたいと思う。