3月23日、シドニーで会見し、東京五輪の延期を求めたオーストラリア・オリンピック委員会のマット・キャロルCEO(写真:AAP Image/アフロ)

(山田敏弘:国際ジャーナリスト)

 東京五輪の「延期」はほぼ決まったと言っていい。

 3月22日、IOC(国際オリンピック連盟)は電話による臨時理事会を開き、今後4週間で東京五輪の延期も決めると発表した。安倍晋三首相もIOCが延期を決めたら受け入れると発表した。

 このIOCの発表までは、各方面から新型コロナウイルスに絡んで、予定通りに行うべきではないという見解が次々と出てきていた。

米国のアスリートの7割が「五輪延期」を支持

 スペインオリンピック委員会やフランス水泳連盟、ブラジル五輪委員会などは、「選手らが十分にトレーニングできない」などとして延期を求めると表明。オーストラリアとカナダの五輪委員会は選手を東京五輪に参加させないとの考えを示した。

 また米水泳連盟は3月20日、米オリンピック・パラリンピック委員会(USOPC)に東京五輪を1年延期する要望を提出した。さらに21日には、米陸上競技連盟(USATF)もアスリートファーストで五輪の延期を求める書簡をUSOPCに送っている。

 また米USAトゥデイ紙は、USOPCが300人のアスリートに質問を行った結果、70%近くが東京五輪の延期を支持したと報じた。さらに同紙は、新型コロナの混乱でアスリートの多くが練習に支障をきたしているとしている。実際、22日にはドイツでも、フェンシング代表選手が「練習ができない」として五輪出場を辞退することが明らかになった。

 こんな状態での開催は無理である。東京五輪の開催に向けて尽力してきた人たちには申し訳ないが、関係者は通常通りに開催されないことを見据えて、一日も早くその方向に舵を切るべきだ。そうすれば、これから五輪までにかかるコスト面でのダメージを最小限に食い止めることができるかもしれない。