(山田 敏弘:国際ジャーナリスト)
いま、世界でニュースバリューがある日本人政治家といえば、安倍晋三首相は別として、小泉進次郎・環境大臣の他には思い浮かばない。
小泉環境相は2020年1月15日、環境省の会合で、育児休暇を取得すると表明。日本では大きく報じられたが、海外メディアでもその動きが伝えられている。
進次郎に吹く逆風
一方で小泉は、結婚を発表したころから人気が下落している。アメリカの名門大学院と著名シンクタンクを出て政治家になった小泉は、以前ならその自信満々のコメントが評判となっていたが、いつの間にかこれが「ポエム発言」と揶揄されるようになった。国連の気候行動サミットでのセクシー発言はいまだに事あるごとに批判されている。もっともこの発言は、彼より前に発言したクリスティアナ・フィゲレス前国連気候変動枠組条約事務局長が「セクシー」という言葉を使っており、小泉はそれを受けて引用しただけだ。何らおかしな部分はない。にもかかわらず、いまだにこの発言が批判的にとらえられているのは、小泉に対する逆風が吹き始めている証拠だ。
ただし最近の彼の言動は、批判されても仕方がない。官邸で結婚発表をする、政治資金に絡む疑惑や女性問題にもきちんと説明しないなど、これまでのパリッとしたイメージは雲散霧消してしまった。
ただ、そんなことよりも筆者が気になっているのは、彼が世界をどう見ているのかがほとんど見えてこないことだ。アメリカで学んできたというバックボーンから鑑みて、その部分が小泉の強みのひとつのはずなのだが、国際情勢において彼がどういう「視点」を持っているのか伝わってこないのだ。
おそらく、不倫や政治資金問題などで壮大なヘマをしない限り、小泉が政治の表舞台から消える可能性は低い。であれば、日米間を取り持つ政治家になるべく米国で「育てられた」小泉は、これから先の日米、ひいては国際関係に関与していくことになる。ならばなおさら、彼が国際情勢についてどんな見解を持っているのかが気になる。